失業保険はどうすればもらえるの?


失業保険とは、正式には雇用保険と呼びます。

失業した場合、自己都合退職した場合、に失業手当を受給することができます。

失業手当の受給開始日は、会社都合や自己都合によって変わります。

会社都合で離職した場合には、失業手当の申請手続きから1週間の待機期間後に失業状態と認定され、雇用保険に加入していた期間に応じて失業手当を受給できます。

自己都合の場合には、1週間の待機期間後に3か月の給付制限期間があります

1 失業保険を受給できる条件

1-1 どんな人が条件か

受給できる方は、就職する意思・能力があるのに、職業につくことができない方です。具体的にはハローワークで求職の申込をしたうえで、求人に応募する必要があります。

逆に認められない方は、けがや病気のためすぐに働けない方、妊娠・出産・育児のためすぐに働けない方、定年退職してしばらく休養するつもりの方、退職してしばらく家事に専念するつもりでいる方、などです。

1-2 必要な雇用保険加入期間

「一般の離職者の場合」

・一般の離職とは自己都合退職が該当します。

離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あることが必要条件です

「特定離職者の場合」

・有期労働契約の更新を希望したが、認められず離職した人

・出産や育児により離職し、受給期間の延長措置を受けた人

・父・母の扶養や介護など、家庭事情の急変により離職した人

・配偶者や扶養親族と別居生活を続けることが困難になり離職した人

・特定の理由で、通勤が困難になり離職した人

・企業の人員整理などで、希望退職者の募集に応じて離職した人

自己都合による退職でも、自分の意思に反する正当な理由がある場合は「特定理由離職者」に認定されます。

離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上あること必要条件です

特定受給資格者の場合

企業の倒産や解雇によって、再就職の準備をする時間的な余裕なく離職を余儀なくされた人は、「特定受給資格者」に該当します。

離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上あること必要条件です

2 失業保険はいくら支給されるか

2-1 失業手当の計算の仕方

①賃金日額=退職前6ヶ月の給与総額÷180(6ヶ月×30日)を算出します。

②基本手当日額=賃金日額×45~80%(年齢や賃金日額によって異なる)を算出します。

③基本手当の総額=基本手当日額×所定給付日数。

④毎月の基本手当額=基本手当日額×28日分。この金額が振込まれます。

2-2 賃金日額の計算の仕方

賃金日額は、原則として退職前6ヶ月の給与 (賞与などは含まれない)の合計を180で割った金額です。ただし、賃金日額には上限および下限があります。

以下の表の金額が賃金日額の上限、下限額です。

年  齢      賃金日額の上限額

29歳以下      12,880円

30歳以上44歳   14,310円

45歳以上59歳   15,740円

60歳以上64歳   15,020円

65歳以上      12,880円

年  齢      賃金日額の下限額

全年齢       2,320円

2-3 基本手当日額の計算の仕方

基本手当日額は、賃金日額に以下の 表の給付率を乗じて計算します。ただし、基本手当額にも上限および下限があります。給付率表と上限、下限額は次頁の下の表です。

離職時の年齢が29歳以下

賃金日額            給付率           基本手当日額

2,320円以上4,640円未満     80%           1,856円~3,711円

4,640円以上11,740円以下    80%~50%        3,712円~5,870円(※1)

11,740円超12,880円以下     50%           5,870円~6,440円

12,880円(上限額)超        ―            6,440円(上限額)

離職時の年齢が30歳~44歳

賃金日額            給付率           基本手当日額

2,320円以上4,640円未満     80%           1,856円~3,711円

4,640円以上11,740円以下    80%~50%        3,712円~5,870円(※1)

11,740円超14,310円以下     50%            5,870円~7,155円

14,310円(上限額)超        ―             7,155円(上限額)

離職時の年齢が45歳~59歳

賃金日額            給付率           基本手当日額

2,320円以上4,640円未満     80%            1,856円~3,711円

4,640円以上11,740円以下    80%~50%        3,712円~5,870円(※1)

11,740円超15,740円以下     50%            5,870円~7,870円

15,740円(上限額)超        ―             7,870円(上限額)

離職時の年齢が60歳~64歳

賃金日額            給付率           基本手当日額

2,320円以上4,640円未満     80%          1,856円~3,711円

4,640円以上10,570円以下    80%~45%      3,712円~4,756円(※2)

10,570円超15,020円以下     45%          4,756円~6,759円

15,020円(上限額)超        ―            6,759円(上限額)

離職時の年齢が65歳以上

賃金日額            給付率           基本手当日額

2,320円以上4,640円未満     80%          1,856円~3,711円

4,640円以上11,740円以下   80%~50%       3,712円~5,870円(※1)

11,740円超12,880円以下     50%         5,870円~6,440円

12,880円(上限額)超        ―           6,440円(上限額)

※1 基本手当日額=(-3×賃金日額×賃金日額+70,720×賃金日額)÷71,000

※2 基本手当日額=(-7×賃金日額×賃金日額+127,360×賃金日額)÷118,600

あるいは 基本手当日額=0.05×賃金日額+4,228のいずれか少ない金額

基本(失業)手当の上限額と下限額

年  齢         基本(失業)手当上限額

29歳以下         6,440円

30歳以上44歳       7,155円

45歳以上59歳      7,870円

60歳以上64歳      6,759円

65歳以上 6,440円

年  齢 基本(失業)手当の下限額

全年齢 1,856円

2-4 失業手当の総額

基本手当の総額の計算の仕方

基本手当日額×所定給付日数です。所定給付日数は以下の表です。所定給付日数は自分の都合で会社を退社した場合と倒産など会社都合で辞めた場合とでは所定給付日数は異なります。

 

退職  年齢       1年未満  1年以上  5年以上10年未満  10年以上   20年以上

            5年未満      10年未満      20年満  

自己

都合  65歳未満     90日    90日     90日       120日      150日

会社

都合  30歳未満    90日    90日     120日       180日 –

30歳以上

35歳未満 90日      90日    180日    210日       240日

35歳以上

45歳未満 90日      90日    180日    240日      270日

45歳以上

60歳未満 90日    180日   240日    270日       330日

60歳以上

65歳未満 90日    150日    180日    210日     240日

65歳以上 30日   50日     50日     50日        50日

就業

困難者

45歳未満  150日   300日   300日       300日     300日

45歳以上

65歳未満  150日   360日    360日       360日     360日

基本手当の所定給付日数(基本手当の支給を受けることができる日数)は90日~360日です。所定給付日数は退職したときの年齢と雇用保険の被保険者であった期間と離職の理由によって異なります。例えば、自分の都合で退職した場合は自己都合、倒産・解雇などにより退職した場合は会社都合に該当します。会社都合の方が、自己都合より給付日数は多くなります。また、障害があって就職が困難者の場合も給付日数は多くなります。基本手当の受給期間は原則として離職した日の翌日から1年間です。この期間内に所定給付日数を限度として受給します。だから、退職してから手続が遅れると、所定給付日数分の基本手当をもらうことができません。自己都合の人は退職して3ヶ月の給付制限があるので要注意です。

3 申請の流れ

①雇用保険被保険離職票の受け取り

雇用保険被保険者離職票は、退職日から10日〜2週間後に、以前の勤務先から届きます。

ハローワークが会社に対して発行し、会社から離職者へと届けられます。

②受給資格が決定する

離職票、必要書類を持って、住所を管轄するハローワークへ行き、求職の申込み(失業手当の申請)をします。

ハローワーク職員との面談で、失業手当の受給条件を満たしているかの確認が行われます。

③雇用保険受給説明会に参加する

雇用保険を受給するためには、ハローワークが開催する雇用保険受給説明会への参加が必須になります。

説明会に参加すると、雇用保険受給に必要なふたつの書類「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取ることができます。

④失業認定日に求職活動の報告をする

失業認定日とは、ハローワークで失業状態のチェックを受ける日のことです。

指定された日にハローワークへ行って、失業認定申告書に求職活動の状況を記入し、申告します。

初回の失業認定日は受給資格決定の約4週間後で、それ以降も4週間ごとに失業認定日が設定され、毎回指定日にハローワークに行く必要があります。

⑤失業手当が振り込まれる

会社都合退職の場合は、初回の失業認定日の約1週間後に指定した銀行口座に失業手当が振り込まれます。

自己都合退職の場合は、初回の失業認定日のあとに給付制限期間を挟んで、2回目の失業認定日のあと、初めて失業手当が振り込まれます。

4 まとめ

自己都合の退職かつ、次の職場がすぐに決まっている場合以外は、なるべくはやくハローワークに行き、失業手当の申請をしてください。

申請が遅れると支給も遅れます。失業手当を受け取れることができるのは辞めてから原則1年以内です。

失業保険は雇用保険を一定期間支払い、働く意思があるのに働けない方が支給される権利です。

その権利を活用し、次のステップアップに繋げてください。

勿論、利用する必要なく職場を決められることに越したことはないですが、仕方なく退職する方にとって不可欠な制度です、制度をよく理解し手続きしてください。

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